論破することにも意味がある/ひろゆきの新刊『論破力』を読んだ感想

匿名掲示板2ちゃんねるの開設者、西村博之ことひろゆきの新刊が発売されたようでその感想を書いてみようと思います。

ひろゆきの本は何度か書評を書いてきましたが『論破力』というタイトルはまさにひろゆきの代名詞にあたいする彼らしいタイトルです。

論破力 (朝日新書)

論破力 (朝日新書)

 

論破力とは?

論破力と言えど中身は人間関係で有利な立場に立つというのがベースで、論破することが目的であるというより、自分の意見や企画を通したり、エンタメ目的であるとのことで役立つ人には役立つ内容だと思いました。

仕事において有利なポジションがあってそこを獲得するための論破力です。この内容はひろゆきにしか書けないものなのだなぁと第1印象を受けました。

例えば

「ヘタなことはしないほうがいいけど下」くらいのポジションにいる 

という一件理解できそうにない見出しの部分は、組織などの対人関係において、周りから下に見られておいて、ただ理不尽なことをしたら面倒な奴という印象を持たれることがお得。という、なんとも絶妙な部分です。ただひろゆきのように組織で上手く振舞っている人間はこんな感じでここを言語化できるのは彼だけじゃないのかなと思うのです。

相手を論破する為のテクニック

『意見を言わずに事実だけを述べると人は反論できない』『理解できないことや不確実なことに対して人は恐怖を覚える』などの人間の心理を利用して、相手の怒りをかわすテクニックややっかいな交渉を乗り切るワザなど今まで見たことのないテクニックが満載です。

ひろゆき流キラーフレーズという見出しで

→「質問を多用し、「はい」か「いいえ」で答える議論に持ち込む」

というのはあえて生産的な議論をせずに、相手の固定観念を覆すための議論の紹介がありますが、「はい・いいえで答えてください」という質問に対して、「はい・いいえ」以外で答えるのは、少し見苦しく感じてしまう第三者からの見た目を意識していたり、議論の前提を噛み合わせるための質問だったりと、かなり高等な技の紹介もあります。

またクレーム処理の方法やタイプ別おじさんに気に入られる方法など多岐にわたって人間関係に関する技が散りばめられています。またお悩み相談室の部分では多くの人が抱える悩みに答えを出してくれています。

ひろゆきの人間関係がストレスフリーな理由

論破力にはひろゆき流の人間関係で得をする方法が紹介されていて、これで上手く立ち振る舞って人間関係でストレスフリーなのだと思いきや、実は理不尽なことを言われたらその場でしっかりと言い返すことが怒りやストレスを溜めない方法という、いたって普通な解決方法だったのが意外でした。その場で上手く言い返せなかったことについて反省して、次の機会に備えるというこれまた意外な習慣も持っているようです。

論破力 (朝日新書)

論破力 (朝日新書)

 

論破力を鍛えるにはその一戦一戦の反省が必要そうです。